子宮頸部異形成とは?

子宮の出口を子宮頸部といいます。子宮頸部異形成とは、正常な子宮頸部に子宮頸がんが発生する際に、途中で出現する細胞の形態に異常がある状態のことです。通常、子宮頸部軽度異形成→中等度異形成→高度異形成→子宮頸がんというステップで子宮頸がんが発生します。

異形成の段階で発見することができるので、子宮がん検診は有用であると言われています。

子宮頸部異形成

子宮頸部異形成の原因

異形成の発生にはヒトパピローマウィルス(HPV)が関与しています。性交渉の経験のある女性のほとんどがHPVに感染しますが、それらの多くは自然排出されます。しかし排出されずに持続的に残った場合(持続感染)、特にHPVの中でもハイリスクのタイプ(ハイリスクHPV)に持続感染した場合、異形成や子宮頸がんに進行すると考えられています。

子宮頸部異形成の治療方針

現時点で、異形成を改善する飲み薬や注射はありません。子宮頸がん検診で異常を指摘された場合、まずはどの段階の異形成であるのかを精密検査で調べ、結果によって治療方針が決定されます。

  • 軽度異形成:約60%が自然に消失しますので、定期的な経過観察を行います。悪化する場合、もしくは1年以上持続する場合は手術を考慮します
  • 中等度異形成:約20%が高度異形成に進行します。厳重経過観察を行いますが、ハイリスクHPVをお持ち、もしくは1年以上持続する場合は手術を考慮します
  • 高度異形成・子宮頸部上皮内がん・子宮頸がん:手術を行います
病変を確認するコルポスコープ 子宮腟部

子宮頸部異形成に対する手術

CO2レーザー装置

子宮頸部に対する手術として、子宮全摘術・子宮頸部円錐切除術・レーザー蒸散術のいずれかが一般的に行われています。当院では、妊娠時に影響の出ないレーザー蒸散術(日帰り手術)を行っています。レーザー蒸散術の対象とならない方は、他の施設に治療を依頼しています。